任意売却は住宅ローンの返済に困ったときに、生活を建て直すための方法のひとつです。
競売は、債権者の申立てにより、裁判所の手で強制的に売却(強制換価といいます)をして、この対価を融資の返済に充てるものです。
これに対して、任意売却は売主が債権者の協力を得て、自らの意思で売却する方法です。
売買対象の不動産に抵当権が設定されている場合、通常の売買では、売主は抵当権を全て抹消したうえで、買主に不動産を引き渡さなければなりません。
法律的には、抵当権が付いたままで売買することはできますし、また、実際にこのような取引も無いわけではありませんが、これはごく稀なケースです。
通常は、抵当権を設定した金融機関は、ローンを全額返済しないと抵当権の抹消には応じてくれません。しかし、売却してもなおローンが残ってしまうオーバーローンの場合、不動産の売買金額よりも借入金のほうが多く、売却した代金の全額を借入金の返済にあてても借入が残ってしまい、ローンの全額を返済できないこととなります。このような場合に、金融機関と交渉してローンの全額が返済できなくても抵当権の抹消に応じてもらう承諾を取って行なう売買が任意売却です。
任意売却をする際、売主は、あらかじめこのための費用を用意する必要はありません。その理由をご説明します。
通常、物件の売買が成立した場合、売主は下表の費用を負担しなければなりません。
しかし自宅を売却する人の多くは、ローンの返済が困難な状態に陥っているので、このような費用を負担する資金的な余裕がありません。
では
、任意売却の場合これ等の費用はどうするのか、ということになる訳ですが、抵当権者等の債権者は、下表に掲げた売買に必要な費用については、債務者の引越し費用も含めて、売買代金の中から優先して支払うことを認めてくれます。
そして、残った金額が借入金の返済に充当されることになります。
従って、あらかじめの費用の用意が無くても、任意売却を行うことが可能です。
[費用の内容]
■不動産業者の仲介手数料
売買代金の3%+6万円に消費税を加えた額
■契約書に貼る印紙代
売買金額によって異なりますが、
例えば3,000万円の売買の場合は15,000円
■司法書士や法務局に払う抵当権の抹消費用、登録免許税等
抵当権の設定されている数によって異なりますが概ね5万円~6万円程度
■延滞している管理費、修繕積立金
マンションの場合
■固定資産税の精算金
通常は買主から売主に支払われるケースの方が多い
■売主の引越しの費用、その他